アメリカン・フットボールが4作目のアルバム制作のアイデアに再び向き合ったとき、作品がこれまでよりもダークな方向へ進むことは、すでに彼ら自身が感じ取っていた。世界各地でソールドアウトとなった結成25周年ツアーを約1年にわたって行い、Iron & Wine、Ethel Cain、Blondshellらが参加したカバー・アルバムを発表した後、Mike & Nate Kinsella、Steve Lamos、Steve Holmesの4人は、プロデューサー/エンジニアのSonny Diperri(My Bloody Valentine、M83、Kurt Vileなど)とともにスタジオへ入り、結果として彼らのキャリアの中でも最も充実した作品となるアルバムを完成させた。
アンビエントな質感と、感情を解き放つポストロック的カタルシスを融合させた本作『LP4』は、これまでのAmerican Footballにはなかった新たなサウンドを提示しながらも、進化を続けてきた彼らの美しいカタログの流れの中に自然に位置づけられる作品となっている。
アルバムはカリフォルニア州スティンソン・ビーチにあるPanoramic Houseでの10日間の合宿レコーディングによって制作された。『LP4』では、バンドがあえて深い闇へと踏み込んでいくような姿勢が感じられる。離婚、変化、そして不確実性といったテーマが前面に押し出されている一方で、バンドの演奏はこれまで以上に力強く、確かなものとなっている。
オープニング曲「Man Overboard」では、各メンバーの持ち味が存分に発揮される。Lamosによるジャズのスウィング感を備えた唯一無二のドラミング、Kinsella兄弟によるリリカルで繊細な歌詞とマルチ・インストゥルメンタルな才能、そしてHolmesの象徴的なギター・ワーク。これらが渦巻くように重なり合い、シューゲイズの嵐のようなサウンドを生み出している。ギターとベースはうねるように膨れ上がり、歪んだ世界へと突き進んでいく。
「Blood On My Blood」では、このバンド特有の変拍子の使い方が際立ち、「Bad Moons」(バンド史上最長の楽曲)には、Kinsellaによるこれまでで最も激しい感情を帯びた歌詞のひとつが収められている。さらにアルバムには、TurnstileのBrendan Yates(「No Feeling」)、Wisp(「Wake Her Up」)、Rainer MariaのCaithlin De Marrais(「Blood On My Blood」)といったゲスト・ボーカルも参加している。
『LP4』は、ジャンルやカルチャーの境界を押し広げ続けてきたバンドによる、野心的な芸術的声明と言える作品だ。時間をかけてその美しさをじわりと見せていく、緻密で壮麗なアルバムでありながら、その奥にはひそかに隠れようとしている暗い感情の影もほのかに漂っている。