Homer

Homer (ホーマー)

音楽が好きなら、どこかで名前を見たことがあるかもしれない。知らなくても、彼のドラムは耳にしていると思う。エイミー・ワインハウスやソランジュ、アデル、シルク・ソニック。長く、そうした作品に関わってきた。

今回、Big Crown Recordsから初めて自身名義の作品を出す。ドラマーとしてだけでなく、プロデュースも自分で手がけている。16歳から続けてきた活動の延長にありながら、少し立ち位置が変わった作品でもある。

2000年代以降のソウルの流れの中で、彼の名前はよくクレジットにある。The Mighty Imperialsの『Thunder Chicken』から、ジョナス・ブラザーズ、ブルーノ・マーズまで。関わってきた現場は広い。

ドラマーとしての仕事を続ける一方で、自分の中に残っているものもあったという。「サイドマンとしてはやりやすかったけど、アイデアはずっとあった」と話している。現場には自由もあるが、最終的に音を決めるのは別の誰かだ。そこから少しずつ、制作に重心が移っていった。

レオン・ミケルズとは高校時代からの知り合いで、ダプトーンでの活動のあと、ポール・スプリングとHoly Hiveを始めた。バンドとして動く中で、自分で決めていく感覚も掴んでいったが、その活動は長くは続かなかった。

同じ時期に、私生活でも変化があった。長く続いた関係が終わり、状態も安定しなかったという。「気分の振れが大きかった」と振り返る。それでも、周囲の助けを受けながら少しずつ立て直していった。

そのあと、また音楽に戻った。最初に形になったのが「Now That It’s Over」だった。「“終わったあとでも大丈夫だ”という一行があって、そこから友人が広げてくれた」と話している。

制作は決まったやり方があったわけではない。人が来て、録って、回して、また次へ進む。デイヴ・ガイやカービー、マイケル・ロールトといった面々と、そういう形で曲が重なっていった。

結果として、このアルバムはかなり個人的なものになっている。これまで他の作品で積み重ねてきた演奏が、そのまま自分の音としてまとまっている。